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昨日、叔母夫婦が家にきた。お盆ということもあるのだろうが父の具合が心配だったようだ。

「手術してから一ヶ月ぐらいだけどどう?。兄だけは絶対にそんな病気にはならないと思っていたけど。」

そう話す叔母の顔には不安が見えた。

父は手術を無事終え体力はとても70代には見えませんねと看護師さんに言われ、自分はもう大丈夫だという顔をして家に戻ってきたのが一ヶ月前。
主治医の勧めもあり、弱い抗がん剤を服用することになった。

2週間後ぐらいから、体調不良を訴え始め、食事もあまりとらなくなってしまっていた。

私も数年前に手術をしたが、あの痛みは、実際に体験した人にしか分からないだろう。
周りの人達はみんな心配してくれたが、心配してくれたところで、その痛みがなくなるわけではない。

人は、一端苦しみを感じ、そこから抜け出せないときがある。
頭の中では分かっていることが、実際にはできないのである。
多分、父もそんな感じなのだろう。

「数直線が上の方に伸びていくことをイメージするときつくなるんだよ。今の状態よりは悪くならないようにと思うと考え方も違うからね。」

そう話したのは叔母の夫。

実は、彼も数年前に脳梗塞で倒れている。叔母はその時には食事やら日常生活やらでかなり大変だったようだ。

さて、「共感する」ということだが、病人に対しては、また意味合いが違ってくる。
同じ思いをした人の話は父にとっては心の支えとなり希望となる。

心理的な働きがあるときに使う言葉が「共感」。これと似た言葉に「共鳴」というのがある。これは物理的な作用が働くもの。
「あなたの心を感じることが出来る」・・・・・こう言えるのは、その痛みや喜びを実際に感じたことがある人にしか言えないし重みはない。

人は色々な場面で人と出会い、そして触れあう中で心の中に芽が出る。それは実際に触れあわなければ分からない事。分かったようなことや正当論は本を読めばよい。詳しく書いてあるのだから。

その人の言葉や行動を受け止めてあげること。例えそれが自分の思いと多少異なっていたとしても。
大切なのは「きっかけ」なのだ。自分がプラスに働くそのものは、偶然に出会うことが多い。

父は、整腸剤と鉄剤を処方されてきた。
「この薬を飲んだら、この間までの症状が少し良くなったよ・・・。」

医者と患者の間にも信頼関係は必要であり、もっとも重要なのだと思う。
どれどれ、そろそろ夕飯。父はどんな表情で食するのだろう。テレビをつけてゆっくりさせてあげたいものだ。
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